2012-03-02

木目込み


60年前、父方の伯母が、私の初節句に用意してくれた「江戸好みの木目込みの内裏雛」。
外はまだ雪が残っていますが、お雛様のまわりはほんのり明るい。微醺を帯びているような男雛だけUPしました。

そろそろ私も一杯飲みたい時間です。

あと数日であの3月11日がやってきます。
自分と同じ年のお雛様を飾り、戦災、天災、火事にも遭わず過ごせたことを感謝しなければ。

とはいえ他にも沢山あった子ども時代の品は、アルバム以外何もありません。

35年前、駐在先の海外に持って行くのは危険だからと、倉庫のある夫の三重県の実家に預けたのが大間違い。なにしろ「伊勢湾台風」が上陸した土地です。

駐在中に大型台風が来たそうです。
そして、嫁入り道具の布団、初めて父が買ってくれた講談社の絵本、少女の頃の愛読書や人形などすべてが水を被って、おじゃん。夫の私物も同じ運命でした。

亡き実母は賢明だったのかもしれません。いやきっと天袋に仕舞いこんで忘れていたのでしょう。

思い出がなくなり落胆している私に、「お前の身代わりにと思って家に置いておいた」と、内裏雛を渡してくれたのです。