2012-03-29

ウチの松



見れば見るほど不細工な松だと思うのです。
Oさんは写真を見て、剪定すれば立派になると嬉しいことを言って下さいましたけど。

幹は寸胴で曲がなく、八方にクネクネと伸びた細い枝はメデューサの頭みたいで気味が悪い。
それでも庭に松はこれっきり。久しぶりの「松ブログ」更新はやはりウチの松で飾ります。

しばらくブログから遠ざかっていました。
パソコンが壊れ、デスクトップを交換して戻るまでに半月。どう考えても欠陥商品なので、メーカーとの交渉を粘っていたのです。修理は半日で足りるでしょう。

F通は非を認めませんが、結局、修理代を半額まで下げました。4万2千円とちょっと。先ほど宅配業者に代引で支払いました。

安いパソコンなら新しいものを買える値段です。
でも高価だったしまだ3年も使っていない。そして何より壊れるまでは「私のパソコン」でした。モノとはいえ毎日向かい合う相手だった。

ウチの松が不細工だったから私は「松ブログ」を始めたのかもしれません。愛着という感情についてちょっと考えているところです。














2012-03-08

女性の松



雛祭りのあとは「国際婦人デー」。

春浅いこの時期に「女性のお祭り」が続けてあるのがとても嬉しいです。
女は熟年・老年になると、色香に染まる前の自分、母性とは縁のない自分を懐かしく思うのかもしれません。

画像は、能の「羽衣」。
早春の「三保で松原」で、漁夫「白竜」は松の枝に掛けられた美しい「天人」の衣を見つけます。

「羽衣は返してやるから天人の舞を舞え」とせまる男。
衣があれば天に帰れると喜ぶ女は、では羽衣を返して下さいと求めます。
それを男は疑って・・

いや、この衣は返しなば、舞曲をなさでそのままに、天にやあがり給うべき

すると、天人は答えます。かの有名なセリフで。

いや疑ひは人間にあり、天に偽りなきものを 

天界の清々しさが、そのまま若き女性の清らかさにつながっています。

能舞台に置かれた「松の緑」もやさしくて、どこかで公演があればすぐにも飛んで観に行きたい。




イタリアでは、3月8日には男性が女性に感謝をこめて「ミモザの花」を贈ります。
フランスでも「ミモザ祭り」があるそうですね。

写真は「お菓子の本」ですが、レシピを読むと砂糖とオリーブオイルがたっぷり。
眺めて楽しむだけにしておきましょう。





2012-03-02

木目込み


60年前、父方の伯母が、私の初節句に用意してくれた「江戸好みの木目込みの内裏雛」。
外はまだ雪が残っていますが、お雛様のまわりはほんのり明るい。微醺を帯びているような男雛だけUPしました。

そろそろ私も一杯飲みたい時間です。

あと数日であの3月11日がやってきます。
自分と同じ年のお雛様を飾り、戦災、天災、火事にも遭わず過ごせたことを感謝しなければ。

とはいえ他にも沢山あった子ども時代の品は、アルバム以外何もありません。

35年前、駐在先の海外に持って行くのは危険だからと、倉庫のある夫の三重県の実家に預けたのが大間違い。なにしろ「伊勢湾台風」が上陸した土地です。

駐在中に大型台風が来たそうです。
そして、嫁入り道具の布団、初めて父が買ってくれた講談社の絵本、少女の頃の愛読書や人形などすべてが水を被って、おじゃん。夫の私物も同じ運命でした。

亡き実母は賢明だったのかもしれません。いやきっと天袋に仕舞いこんで忘れていたのでしょう。

思い出がなくなり落胆している私に、「お前の身代わりにと思って家に置いておいた」と、内裏雛を渡してくれたのです。