2011-10-28

蹴鞠の松


桜下蹴鞠図  (桃山)


七夕蹴鞠

その場所には砂を敷き、四隅、艮(東北)にサクラ、巽(東南)にヤナギ、坤にカエデ(西北)、乾(西南)にマツを植える。周囲の鞠垣は本式では7間半四方、広狭で3間四方までにする。・・禁裏、仙洞、皇族、将軍家ならびに家元はマツばかり4本・・                                      ウィキぺデアより

清少納言が「上品ではないが面白い」と評したフットボールは勝敗を争わず、鞠庭とよばれるコートからして現代人からすれば随分上品です。

四本の木は正式には式木(四季木)。成長も見頃もバラバラでしょうし、枯れることもある。それを話題に見物も楽しんだことでしょう。草木文化ですね。
ただし上層部の「松四本」はいただけない。遊ぶ時まで「長命不変」の権力に囲まれていたいわけ?

能舞台の四隅には柱があり、シテ柱、笛柱、ワキ柱、目付柱と名前をつけて、これも蹴鞠と通じる日本の文化。

今、私の頭を占める「四」といえば来週の「四人会」です。「あまり寒くならないうちに会いましょう」ということで、早目の忘年会かな。春夏秋冬、ビール&おしゃべりの会で旧交を温めている四人です。それにしても会の名前が・・

仲間たちを「蹴鞠の木」に例えてみました。
苗字に松がつくSちゃんはそのまま「松」。正統派美人ですしね。明るく華やかなIさんは花の女王の「桜」。秋に色づく「楓」は嫁入り前のHちゃん。介護で手が真っ赤にならないように。

のこる私が「柳」かしら。体型は確かに柳だけど、「花柳」の色っぽさはない。お化けの柳としておきましょう。







2011-10-26

箱根の女


先週末、旧友ふたりと還歴記念の一泊旅行をしてきました。
行く先は箱根強羅。ロマンスカーの車内で頼んだ「生ビール」に、到着前からもうシアワセ・・。泡のクリーミーなことといったら!

宿よし、食事よし、温泉よし。もちろん友との語らいも。大満足の旅のお土産は、宿の庭にあった「アカマツ」です。
窓越しに撮ったのですが、枝のクネクネがいかにも「女松」でしょう? 露天風呂に5回入った私もすっかりクネクネ。久しぶりに味合う解放感でした。

さて、きょうの夕刊で、植物生態学者(鎮守の森と照葉樹林で有名な)宮脇昭さんが、東北被災地の樹木の様子について語っています。

「仙台市などでは、海岸のアカマツやクロマツなどが根こそぎ倒れていました。その一方で、タブノキやシラカシ、マサキなどは大震災や大津波に耐えて見事に生き残っていた。」

日本の海岸の「白砂青松」は、防潮林としては役に立たなかったようです。今後は防災上の見地から、海岸には松林でなく照葉樹林が登場するのかしら。

松原遠く・・は本当に消えてしまうのか。どちらにせよ、クネクネ女は海には似合いませんけどね。





2011-10-22

松ふぐり

更新を怠ったお詫びに「醒酔笑」から、松に関する江戸の小話を。

あれは女松だろうね。「月の障り」になっている。いやいや男松にちがいない。よくみると「ふぐり」がある。

松ぼっくりは「松ふぐり」が転じた呼び方です。われわれにお馴染みは可愛らしいこの歌。
松ぼっくりがあったとさ 高いお山にあったとさ ころころころころあったとさ

春の大震災で遠足が中止されたか、隣の公園には連日幼稚園や小学生の団体がやってきます。
先生が大声で言います。「皆さ~ん、公園で自然を探しましょう。松ぼっくりが落ちているよー」。
そんなバカな・・・それとも今が松ぼっくりの季節?

写真は、8、9月に公園で撮ったものです。
台風で枝ごと落ちてしまった若い実。そして盛夏にかがやく翠の珠。



こちらはヒマラヤ杉の松ぼっくりの「シーダーローズ」。まず美しい名前に魅かれますね。
庭に大きなヒマラヤ杉があるのに全く気がつかず。初冬に落ちるそうで楽しみです。

学校の先生の言葉を信じて、来週あたり公園の松ぼっくりを探しに行こうかな。

ころころころころあったとさ お猿が拾って食べたとさ  
お猿が食べるのは固い殻だとずっと信じていた私。なんだか長生きしそうで、こまったもんです。







2011-10-13

対決



「やはり赤松は山に似合います」。
Oさんは、川中島CCでのラウンド中に、秋の陽をあびた赤松の群生を眺め、そう感想をもらしています。ブログ写真をお借りしました。
スポーツの秋、「霜の降りるまで」の骨休め。きっと英気を養われたことでしょう。



こちらは前回とりあげた我が町内の「秋葉のくろまつ」。写真が撮れずに借り物画像です。
太い幹、亀甲型の樹皮、タコの足のような枝。窮屈な住宅地に押し込められても、上空で発散してる一本の黒松です。

赤と黒、群生と単独。それぞれの違いはあっても、そのすべてに私は力強さを感じます。痩せた土地にまず根付くのが松だそうで、山しかり、海しかり。

スポーツの秋の次は、味覚の秋でしょうか。
松茸が生えるのは赤松、黒松には「松露」。でもあまりなじみがありません。もちろん松茸にも・・。
和菓子の松露は、風雅な名前と砂糖衣が大好きですが。

まるい形はキノコの傘なのですね、露ではなくて。







2011-10-10

秋葉のクロマツ



「ルソー」を思わせる絵は、大田区新百景のひとつとして描かれたものです。
中央にそびえる樹が、高さ16メートル、周囲4メートル、樹齢300年の「秋葉のくろまつ」。

東京都の「三大巨松」の一つで、天然記念物に指定されています。
「照善寺」の裏手、町内のどこからでも見えるのに、松にたどり着くのは至難のわざ。入り組んだ坂道の住宅地に埋没しているのです。

今日も寺のまわりをウロウロしている人がいました。正直に言うと私。何度か前を通っているはずなのになあ。

ア、あったあった。三方を家に囲まれた窮屈な所なのです。
幹は眼の前でも根元が見えない。松全体を見上げることも出来ない。ブログの写真をどうしよう?

祠を右に左にと足場を探していたら、とつぜん藪蚊の襲来です。逃げるようにして撮ってきた一枚がこれ。しっかり曲がっていますね。


「秋葉」の名の由来は、「秋葉権現」の祠のそばに立っている松だからです。
照善寺の守護神ですが、寺との距離はかなりあり、江戸時代の寺院の勢力やいかに。

祠はコンクリート製でした。秋葉様は火除けの神様なので、燃えたら困ります。










2011-10-05



イタリア アブルッツォ州



陸前高田


この二本の道には何の関連もなく、それぞれAさんとYさんが写したものです。

イタリアの山道に霧が発生すると、瞬く間に視界がきかなくなります。身体の芯だけでなく心の奥にまで沁み通るような湿気。緑の木々もじっとりと濡れています。
その中を車がかなりのスピードで走って行きます。

大災害に見舞われた陸前高田。被災直後はどこも「音がない世界」だったといわれ、ここの風景も実に静かです。しかし決して「死の町」ではありません。

夕日に照らし出された道はまっすぐに伸びている。
地上のすべてが失われても、たとえ先が見えなくても、人々は自分たちの「道」をたどって生きて行くのだと思いたい。





2011-10-03

パワースポット

 
またまた川中島Oさんのブログより、画像もコメントも無断拝借(ごめんなさい)。
日々雑用に追われ、頭が空っぽの時は、なんでも「人頼み」です。
北信濃の秋、木漏れ日のきれいなこと! 葉っぱが青々として、紅葉はまだのようですね。

どの神社にも大木・古木があるが、松尾神社のは神殿の前に4本のケヤキが四角に生えている。このケヤキに囲まれたところが拝殿のように見える。今朝、ここでお参りしてきた。何だかトテモ清々しくなって力が湧いてきた。ここはきっとパワースポットに違いない、と思う。

川中島の「松尾神社」は京都の松尾神社の分社で、ケヤキの高さは30メートル以上だとか。

ウチの裏庭にも、地続きの古墳(今は公園)の植林だったと思われるケヤキがあります。しかしウドの大木で「パワー」の一かけらもない。
古墳の亡霊でも宿ってくれれば、すぐパワースポットで売り出すのに・・。

松尾神社ではケヤキが「四角に生えている」ということですが、神社の原初の形なのでしょう。

「四」といえば神道では「四方拝」、仏教では「四方結界」。地鎮祭の締め縄も四隅に張ります。
東西南北の魔やケガレを払う意味と、正反対に魔を「引き寄せる」のだという魅力的な説もあり。


魔方陣と能舞台。お能の亡霊たちも四角に引き寄せられてやってきたのかもしれない。








鉱山王の松


旧高取邸

Yさんから久しぶりに絵葉書を頂いたのは先週のこと。
いつもように現地のパンフと地図だけを頼りにする気の向くままの一人旅。文面によると、博多を出発し終点は太宰府だったようです。

「今回は唐津の炭鉱ブルジョワジー高取邸と、にあんちゃんの故郷、それに村田英雄記念館が当たりでしたね。飯塚の伊藤家(日蓮が逃げた)より、能舞台を室内にしつらえた高取邸の方がカネの使い方を知っているという印象」

茶室とならんで能舞台は、日本人の美意識に裏打ちされた「金と権威」の象徴です。

この画像をよく見ると、普段は畳を入れて広間にしていることがわかります。
大金持ちに見習おう。日本式合理主義。

鏡板ではなく、襖(ふすま)に松が描かれているのも面白い。しかもこの松、酔っ払っています。
能舞台の背景に立つより、宴会の仲間に入れてほしいと言わんばかり。
世界語となった現代ニッポンの美意識でほめてやりましょう。

KAWAII !