2011-10-05



イタリア アブルッツォ州



陸前高田


この二本の道には何の関連もなく、それぞれAさんとYさんが写したものです。

イタリアの山道に霧が発生すると、瞬く間に視界がきかなくなります。身体の芯だけでなく心の奥にまで沁み通るような湿気。緑の木々もじっとりと濡れています。
その中を車がかなりのスピードで走って行きます。

大災害に見舞われた陸前高田。被災直後はどこも「音がない世界」だったといわれ、ここの風景も実に静かです。しかし決して「死の町」ではありません。

夕日に照らし出された道はまっすぐに伸びている。
地上のすべてが失われても、たとえ先が見えなくても、人々は自分たちの「道」をたどって生きて行くのだと思いたい。