見慣れたお寺の松だが、今朝の松はとりわけ神々しいほどの姿を見せてくれた。
・・枝につもった雪が何時までも融けないので墨絵の世界が堪能できた。
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寒空にたつ松の木に、身の引き締まる思いがしますね。
折しも、日経の「新春対談」では、「長谷川等伯」が取り上げられていました。
「等伯」を連載中の安部龍太郎氏と、等伯ファンだという中村吉右衛門の語り。「見出し語」を並べて内容を紹介します。
武士の魂持ち続け 権威に挑んだ等伯
人間性、家族愛にじみ出る 死をバネに生き抜いた人
私がブログタイトルに「松林図屏風」を使うのは、まさに「死をバネに生き抜いた人」である等伯に魅かれるからです。
非凡な絵師であった息子「久蔵」の若すぎる死。父親の慟哭が、郷土七尾の松林から聞えます。
「世阿弥」もまた、「元雅」という天才的な能作者であった32才の息子を失いました。どちらにもあるのが権力により暗殺されたという説です。
子どもが親より先に逝くだけでも悲しいのに、芸術家として次代を託す人間を失ったことの悔しさ、そして孤独。しかもその死を引き寄せたのは自分かもしれない。
彼らの苦しみはいかばかりか。しかし共に天才芸術家であった二人は、息子の死から逃げませんでした。芸術家としての前途を絶たれた息子たちが、背中を後押ししてくれると感じたことでしょう。
十郎元雅は、傑作「隅田川」を遺しました。
人買いに東北へ売られる途中で病気になって捨てられ、早春の「隅田川」のほとりで死んだ「梅若丸」はまだ十二歳。母は念仏を唱えることしかできません。
人間憂ひの花盛り 無常の嵐音添い
生死長夜の月の影 不定の雲覆へり
げに目の前の浮き世かな げに目の前の浮き世かな
追記(本日1月6日)
この原稿を途中まで書いて、冬場に流行する「ノロウィルス」に感染してダウン。よくやく起きだしての更新です。風邪なども全然ひかない体質であったのに・・。
正月は冥土の旅の一里塚。身体が弱くなるのは、あちらへ行くための旅支度なのですねえ。