2012年の「読初め」が、書棚からホコリを払い取り出した平井照敏の「新歳時記」だなんて悲しい。歳時記をめくり、松を詠んだ俳句を探そうというのですから。
常緑樹であるため季語になりにくい松は、新年の巻に多いのです。
門松、松飾り、松の内、松七日、このあたりは平凡で却下。
笏正しく 居眠る禰宜や 松囃子 (佐野青陽人)
これがいい。「松囃子」は謡曲の「謡初め」として知られていますが、室町時代の言葉だそうです。
都落ちをした足利義満を、播磨の赤松氏が「芸事」で慰めたのが正月13日だった。そこで松の内の囃子事であれば、「獅子舞」でもなんでも松囃子。
新年早々の私のブルーな気分を、金歯のお獅子がパクリと食べてくれないかなあ。
といっても住宅地は静まり返り、獅子舞の獅子は、歳時記の中で居眠っている事でしょう。
三が日の夕暮れ。大ケヤキの後には三つのブルーが広がっていました。