Yさんからの絵葉書より
どちらも川瀬巴水の版画作品で、上が「金沢本多町」、下が「馬込の月」。
Yさんは、みずから「気まぐれ美術館」と称し、不定期ですがアート絵葉書を送ってくれます。
今や現実の美術館に出向くことは皆無なので、大変うれしい「お便り」です。
携帯を変え写真をうまく撮れないので、今までに頂いた絵葉書を検索してみることにしました。
桜の絵などもありましたが、何といっても凄いのは「巴水の樹木」。
とんでもない大きさと高さ。まるでお化けの木のようです。
葉書が届いた時には気づかなかった巴水の樹木の表現。彼は木だけでなく「水」も独特ですが。
「金沢本多町」の木は屋敷林で、塀の内側にあるということがミソですね。
青空にもくもくと上る雲以上に、小路を歩く赤い帯の女性に覆いかぶさっています。
日差しの在るなしで、木の色はこんなにも違う。金沢という街の奥行まで感じさせます。
日盛りに出歩く女(ひと)の、傾げた傘の色っぽいこと・・。
「馬込の月」の方は、大田区に住んでいるため、眼になじみ過ぎて驚きがない。
しかし、青と黒、松と家と田んぼだけで、こんな名作に仕立ててしまうなんて、ただただ畏れ入るばかり。職人技に近いですかね。