私は「能」を観る機会もなく、謡(うたい)についても全く知識がありません。
ただ、謡曲の詞章を文学として読んで楽しむばかりです。
「次第」は登場歌で、これから始まる劇への期待が高まるところ。その曲のテーマにもつながる詞章が多いような気がします。
「キリ」は「序破急」でいえば「急」にあたり、結末はなんだか「尻切れトンボ」です。
しかし舞台では結末間際に「舞」や立ち回りなどの動きがあるようで、キリは十分な時間をかけたあとの「収束」なのでしょう。
「キリ」の詞章は短いものでも余情に溢れています。
詞章とともにシテはおのれの墓塚に戻ったり、水底に沈んだり、あの世へ、あるいは天空へと退場します。
ポール・クローデルの言うように「能、それは何ものかの到来である」であるなら、去り行く場面もまた重要なのではないでしょうか。
WEB NOH THEATER の用語解説より
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次第(しだい)
主にワキが登場するときに演奏される囃子の調子の一つ。
大鼓、小鼓中心が中心になり、笛はあしらうというスタイル。
また、その調べが終わった時点で、役の者(ワキ、ワキツレなど)が、最初に謡う謡も次第と呼ぶ。
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キリ・切
一曲の中で、最後に置かれた構成要素。
最初と最後を意味する「ピン、キリ」という言葉の「キリ」と同意と思われる。
フィナーレの部分であり、謡いどころ、舞どころである。
ここでの謡は、必ず拍子に合う。
キリ・切
一曲の中で、最後に置かれた構成要素。
最初と最後を意味する「ピン、キリ」という言葉の「キリ」と同意と思われる。
フィナーレの部分であり、謡いどころ、舞どころである。
ここでの謡は、必ず拍子に合う。