2011-08-05

セザンヌ

松の木のあるサント・ヴィクトワール山

ブログでとりあげる第一号はセザンヌの松です。
浮世絵の構図だと、いわれればわかります。

大きな松の木

この絵の松は暗い感じ。でも斜面の土が鮮やかで、夜とも昼ともわからない不思議な絵です。

セザンヌの戸外の絵には必ず「樹」が描かれているそうです。
彼の「樹の絵」について、詩人の長田弘さんが、日経新聞(08年)で述べています。

 (セザンヌが)描いたのは、あたりまえの日常のなかにある、およそ平凡な樹だ。つねにただそこにある樹として、ごくごく等身大の樹を描き、セザンヌは終世、樹と共に在る生き方をくずさない。
 
 世界の中心にあって空をささえていた神樹がなくなって、空が初めて人間の頭の上に落ちてきた時代に、セザンヌによって、わたしたちは、世界のどこでも、ありふれた無数の無名の樹が、この世界の平衡と確かさをつくっているのだということを発見したのではなかったか。

衝撃的な言葉で、思わず記事を切り抜きました。
私は、「無数の無名の樹」というところを「人」に置き換えて読んでいます。ブログをはじめるきっかけとなった言葉です。

長田さんが好きな絵は、最晩年の油彩画である「大きな木々」。
日経の紙面を携帯で撮影しましたが、この木は松ではないでしょう。三本の木に三本の自由があるところがいい。

大きな木々